アルコール類のPH
皆さん、お酒は好きですか?ここ最近、暑い日もあり、仕事帰りやお風呂上りに冷たいビールが美味しい季節になってきました。飲み過ぎが身体に悪いのは知られていますが、それだけではありません。飲酒後は、歯が溶け出しやすいことをご存じでしたか?
今回は、飲み物のpH(ペーハー:酸性・アルカリ性をあらわす単位)に注目したいと思います。
歯の表面を覆うエナメル質は、お口の中が「pH5.4」より低い酸性環境になると溶け始めます(☆エナメル質酸齲蝕症)。
「☆酸齲蝕症:細菌の関与なしに酸またはキレート化(おもにミネラルを有機物などで包んでしまうこと)により歯の表面が化学的に溶けること」
現在市販のアルコール飲料は、ビール、発泡酒、ワイン、ウイスキー、日本酒、焼酎など幅広くありますが、そのどのアルコール飲料のpH値も、この値より低い測定結果がでています。
〈アルコール類のpH〉 〈一般的な飲料類のpH〉
梅酒&缶チューハイ・・2.9 水・・・・7.0
白ワイン・・・・・・・3.3 お茶・・・6.3
赤ワイン・・・・・・・3.4 コーラ・・2.2
ビール・・・・・・・・4.3
焼酎&日本酒・・・・・4.9
ウイスキー・・・・・・5.0
残念ながら、多くのアルコール飲料が、比較的低いpHを示しています。原料の性質による理由のほかに、製造過程で産出される乳酸、クエン酸、酢酸、コハク酸などの各種有機酸が影響しているようです。甘いものでもなくワインで?と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、ワインもpH3ですので、お口の中が酸性に傾き虫歯のリスクが高まります。ワインテイスティングや日本酒の利き酒をするときに、お水でお口直しをしますよね、これは、味覚の回復だけでなく、実は歯にも良いのです。
唾液には、歯の表面の汚れを洗い流す働きと、酸を中和する働き働きがあり、通常この2つの働きが歯を守っています。でも、ダラダラ飲んでいる間は、この効果が十分発揮されず、さらに寝ている間は、あまり唾液がでません。このため、pH値の低いアルコール飲料をダラダラと飲み続け、そのまま寝てしまうと、お口の中が酸性環境にさらされる時間が長くなり、酸齲蝕症が起きやすくなります。お酒は、飲み始めるとついダラダラ飲み続けてしまいますので、要注意です。そして、酔っぱらってしまうと歯磨きがおろそかになりがちです。そうなる前に歯磨きをしましょう。